コインハイブ事件の最高裁判所判決についてのメモ

はじめに

これは、コインハイブ事件の最高裁判所判決について、私が判決文を読んで解釈した内容のメモです。
法律の専門家でもなく、内容の正確性などは担保できないため、参考程度にご覧ください。

最高裁判所の判例

令和2(あ)457 不正指令電磁的記録保管被告事件

判例の全文も見られます。

ポイント

争点としては大きく「反意図性」と「不正性」の2つでした。

反意図性

反意図性は,当該プログラムについて一般の使用者が認識すべき動作と実際の動作が異なる場合に肯定されるものと解するのが相当であり,一般の使用者が認識すべき動作の認定に当たっては,当該プログラムの動作の内容に加え,プログラムに付された名称,動作に関する説明の内容,想定される当該プログラムの利用方法等を考慮する必要がある。
(判決文より抜粋)

こちらについては、一般の使用者に対して、同意を得ず、マイニングに関する説明やマイニングが行われていることの表示もないため、反意図性は認められました。

不正性

不正性は,電子計算機による情報処理に対する社会一般の信頼を保護し,電子計算機の社会的機能を保護するという観点から,社会的に許容し得ないプログラムについて肯定されるものと解するのが相当であり,その判断に当たっては,当該プログラムの動作の内容に加え,その動作が電子計算機の機能や電子計算機による情報処理に与える影響の有無・程度,当該プログラムの利用方法等を考慮する必要がある。
(判決文より抜粋)

こちらについては、一般的な広告プログラムとの有意な差はなく、社会的に許容し得る範囲内といえるものであるため、不正性は認められませんでした。

本件プログラムコードは,その機能を中心に検討すると,反意図性もあり不正性も認められる。
(判決文より抜粋)

ただし、機能のみを見た場合には不正性も認められるということで、ここは注意が必要な点だと思われます。

ウェブサイトの運営者が閲覧を通じて利益を得る仕組みは,ウェブサイトによる情報の流通にとって重要であるところ,被告人は,本件プログラムコードをそのような収益の仕組みとして利用したものである上,本件プログラムコードは,そのような仕組みとして社会的に受容されている広告表示プログラムと比較しても,閲覧者の電子計算機の機能や電子計算機による情報処理に与える影響において有意な差異は認められず,事前の同意を得ることなく実行され,閲覧中に閲覧者の電子計算機を一定程度使用するという利用方法等も同様であって,これらの点は社会的に許容し得る範囲内といえるものである。
(判決文より抜粋)

使い方が一般的な広告プログラムと比較し優位な差が認められない点から、不正性が認められなかったということでした。
つまり、一般的な広告プログラムと優位な差がある場合は、不正性が認められ、有罪になる可能性もあるのだろうと思います。

感想

個人的には、論理的かつ社会情勢にあった判決であるように思いました。
1エンジニアとして、喜ばしい結果でした。

ただし、全面的に問題がなかったわけではありませんでした。
反意図性は認められていますし、不正性も機能としては認められるが、社会的には許容の範囲だった、というギリギリのラインだったようにも見えました。

判決文にも「反意図性」と「不正性」に関して下線が引かれていて、今後はここを意識していかねばなりませんね。
逆に言えば、注意すべき点が最高裁によって明確になったことも良かったと思います。

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